【がちヤバい】プロスポーツチームのキャッシュは本当に厳しい(Jリーグ発表の財務諸表から分析)【コロナ倒産危機】

先日、アルビレックス新潟を事例に、クラブの今後のキャッシュ状況を解説する動画をYouTubeにアップしたところを、関係者を中心に大きな反響を頂きました。

【がちヤバい】「9、10月にはキャッシュがなくなる」発言を具体的な数字で検証【スポーツチームのコロナ倒産危機】

この他にもたくさんの反響を頂き・・・ありがとうございます!

また、「YouTubeではなく、記事として読みたい!」といった声や、DMで「他クラブの状況も見てみたい!」という声がありました。

そこで今回は、YouTubeで話した内容を記事にしました

ただそのままYouTubeの内容を書き起こしても芸がないので(苦笑)、この記事ではJリーグのJ1全クラブ(※)を対象に、現在の状況が続いた場合の数字をシミュレーションして解説していきたいと思います。
※Jリーグが公開している最新の財務諸表に基づき、2018年のJ1所属クラブを対象

ちなみにこの記事を読まれることで、こうした知識を知ることができます。

①スポーツクラブの経営(ビジネス)の仕組みがざっくり分かる
②試合ができない状況が続いたら、クラブ経営はどうなるか…

でも、もう正直、想像以上にどのクラブも厳しいです。。。覚悟して読んで下さい。。。

ちなみに情報ソースはこちら。

Jリーグが毎年公開している「Jクラブ個別経営情報開示資料」となります。

https://www.jleague.jp/docs/aboutj/club-h30kaiji_3.pdf

こちらから営業部分に関わる「営業収益」「営業費用」のみを切り出していきます。

「営業収益」「営業費用」を見ると、いくつかの項目があります。
ただし、それぞれの項目ごとに性格が大きく異なりますので、ここは丁寧にみます。

①固定的収益/費用 ➡➡ 試合(活動)の有無に関係なく発生
②都度の収益/費用 ➡➡ 試合(活動)によって発生

大雑把に分けると、この二つになります。

ちなみに管理会計的にいえば、①固定的収益/費用=固定費、②都度の収益/費用=変動費 をイメージしていただければと。

では、上記の各項目を改めて整理します。

各項目を自身のクラブ職務経験から、以下に分けています。

細かく見ると、例えば「物販収入」であれば、「オンラインショップや店舗販売があるので、試合の有無に関係ないのでは?」などありますが、今回はシミュレーションをシンプルにするため、試合に応じた項目にするなどして分けています。

ちなみにこうした会計の数字を見る時には「まず、ざっくり大雑把に状況を把握する」ことが大切になります。

先ほどの表を整理すると以下になります。

この記事を書いている2020年4月現在、コロナ禍の影響により、Jリーグは試合ができない状況が続いています。

つまり、上記図の「②都度の項目」がいずれも0円という状況となっています。
特に痛手なのは、売上を大きく支え、そして利益率の高い「入場料収入」が無いことであります。

では、2018年J1リーグ18クラブの数字を見ていきたいと思います。

※本来は「営業外収益/費用」「特別利益/損失」もみる必要がありますが、説明をシンプルにするため、計算に入れていません
※同じく説明をシンプルにするため、前期からの繰越分も計算に入れていません
 =つまり単年の営業に関わるPLのみ切り取っています
※厳密にはPLとCFの違いがありますが、PL≒CFとみなして数字をみています

上記から今回のシミュレーションで必要な項目だけを抜き出し、「①固定的収益/費用」と「②都度の収益/費用」に分けたのが下となります。

これだと少し分かりづらいので、時系列に、四半期(3か月毎)にクラブの状況がどうなっているかを見ていきたいと思います。

まずは3月末時点・・・

3月末時点でのキャッシュ(=残金)状況

どのクラブも残金が10億円前後以上あることが分かります。

3月末時点では、スポンサー収入が一括先払いで入金されていますので、全18クラブとも残金に余裕があります。この記事を書いている4月も、これに近しい状況かと思われます。
※「スポンサー収入」「その他収入」は一括で3月末までに計上

続いて6月末時点・・・

6月末時点でのキャッシュ(=残金)状況

先ほどと比べ、残金が一気に減っていることが分かるかと思います。

活動停止で収入が伸びない中、選手スタッフ人件費は毎月発生していくため、費用だけが増え、残金が少なくなっています。

クラブ経営者は、日々、キャッシュが減っていく状況に、徐々に現実を直視せざる得ない状況となっていきます。今以上に緊迫感が相当に増していくかと思われます。

で、続いてはこの状況から3か月が経た9月末・・・

9月末時点でのキャッシュ(=残金)状況

売上は上がらない。費用だけは積み重なっていく・・・。
融資を受けず、でも諸費用をそのまま発生した場合、12のクラブでキャッシュが枯渇してしまいます。。。

現金がない → 選手スタッフらへ給料が払えない状況となります。
つまり、現状のままだと夏から秋にかけて、一気にキャッシュが苦しくなり、経営破綻という4文字が現実的なこととなってきます。。。

ただし、

収入で計上していない項目があります。この数字はJリーグ配分金が入って無いものであります。

はい。では、Jリーグ配分金を一括でクラブへ入れた場合も見てみます。

9月末時点でのキャッシュ(=残金)状況  ※Jリーグ配分金あり

Jリーグ配分金をこの7~9月のタイミングで一括で注入した場合の9月末の数字です。

これを見るとご覧の通り、3クラブでキャッシュが枯渇してしまいます。

そして2020年12月末・・・

12月末時点でのキャッシュ(=残金)状況  ※Jリーグ配分金あり

神戸を除くすべてのクラブでキャッシュが枯渇。ほぼ全てのクラブで、給料が払えない状況となります。

現状では、2021年を迎えらるクラブはほぼ無い状況となってしまうのです。。。

=====

今回取り上げた数字は、Jリーグから公表されている2018年の財務諸表から簡易にシミュレーションしたものであり、現在とは状況が異なります。

しかし、また逆に、その収益/費用の構造は大きく違ってないことも容易に想像できます。

つまり現在の状況が続くと、Jリーグのクラブはキャッシュ(=運営資金)が秋くらいには枯渇し、「Jクラブの経営破綻」のニュースが全国各地で起こることが現実になってしまう・・・


そして売上がほぼ上がらない今、経営者として何ができるかと言えば、一般的な会社経営と同じく「売上を伸ばす方策を探す」「費用を減らす」しかない・・・

脅すつもりはありませんが、未来を見通すと相当に厳しい状況であり、大きな業態転換は当然のこと、経営破綻も覚悟しなければならないフェイズに入っていると言えます。

とにかく我々がまずできることは、この状況を一刻も早く脱出することだと思います。

不織布三層構造マスク
タイトルとURLをコピーしました